EAL(BIO ST-100)

海に優しい環境対応型船尾管用潤滑剤

KEMEL BIO ST-100

当社は2006年に独自の生分解性船尾管潤滑油「ST-77」と専用の船尾管シールの提供を開始しました。
また、米国規制2013VGPの対応として、2014年より「ST-83A」を提供しています。
今回、更なる軸受潤滑の向上を目的として、3世代目となる「BIO ST-100」を開発しました。
今後は「ST-83A」から「BIO ST-100」への切替えを進めます。

■特徴

配合

ポリグリコールを基剤とする生分解性潤滑剤です。ポリグリコールは化粧品や薬などにも使用される無毒の物質です。

光沢膜非生成

水溶性であり海水上に油膜を発生しません。またスラッジ等の堆積物を生成しません。

水許容性

エステル系EALのように加水分解は起こらないため、10%海水が混入した場合でも十分な潤滑性と防錆性を有します。

軸受の潤滑性

KEMEL BIO ST-100はVG100に分類されますが、一般の鉱物油や他のエステル系EALよりも高い絶対粘度となるため、より安定した油膜形成能力があります。(注)VG:粘度グレード

KEMEL BIO ST-100 鉱物系システム油(VG100)
絶対粘度@40℃ 122mPa・s 93mPa・s

2013 VGP(Vessel General Permit)に適合

EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)によって規定されるEAL(Environmentally Acceptable Lubricant) に適合しています。

  • 生分解性海水中において短期間で水と二酸化炭素に分解されます。
  • 低毒性有毒性が低く無害に分類されます。
  • 低蓄積性水溶性であり極めて低い蓄積性を有します。

従来のKEMEL ST-83Aよりも性能が向上しました

  • 粘度が高くなりました。油膜形成能力の向上
  • 流動点が低くなりました。低温性が向上
  • 引火点が高くなりました。引火点が250℃以上となり、難燃性扱いをすることが可能です

取扱い上の注意

  1. 専用に設計された特殊なフッ素ゴム製シールリングとの組合せにてご使用下さい。(FKM-PAG BIO / FEPM)
  2. ST-83Aと混合しても化学的な反応は起こりません。ただし適正な潤滑油管理のためST-83Aからの入替えを行う際は、特別なフラッシングは必要ありませんが、ST-83Aをしっかり排出したうえで入替えをお願いします。
  3. 他のLOから入替えを行う際は、BIO ST-100(又はST-83A)もしくはタービン油にてフラッシングを行って下さい。
  4. BIO ST-100は水溶性の為、空気中の水分を吸湿する場合があります。配管設計の際にはKEMELに御相談下さい。
  5. BIO ST-100を使用の際にはタンク内面等のペイント剥離を防止する為、無機系ジンクプライマを御使用下さい。

水溶性生分解性船尾管潤滑剤 KEMEL BIO ST-100

■配合

基剤:ポリグリコール

■特性

(1)物性、化学特性
外観 淡褐色液体
動粘度 40℃ 106mm2/s
粘度指数 126
比重 15℃ 1.15g/cm3
流動点 -38℃
引火点 280℃(COC)
溶解性 水溶性
(2)環境特性
項目 試験方法 結果
生分解性 OECD 301B > 60%
毒性 OECD 201 (藻類)
OECD 202 (ミジンコ類)
OECD 203 (魚類)
> 100mg/L
低蓄積性 OECD 107, 117 Log Pow < 3
光沢膜、スラッジ 目視観察 海面に光沢膜を生成しない
スラッジ等の堆積物を生成しない
(3)性能特性
項目 試験方法 結果
防錆性(鉄) ASTM D665
(人工海水)
発錆無し
耐蝕性 (銅) ASTM D130 1a
泡立ち性 ASTM D892 90/0 @24℃
耐酸化性 ASTM D2893 粘度変化: 6% @40℃